「そのような嫉妬なら可愛いものです。美鶴様はもう少し我が儘になってもよろしいのですよ?」
「で、でも。私最近少し我が儘になり過ぎている気がするわ」
反省していたところだというのに、もっと我が儘になっていいとはどういうことだろうか。
「美鶴様は謙虚すぎます。貴女様は主上の唯一の妻です。主上も美鶴様を殊更大事に思われていますし……美鶴様ももっと主上を求めてくださいまし」
その方が主上もお喜びになります、と優しい姉の様な眼差しで見つめられた。
直接干渉はしなくとも、見守ってくれている様な温かみのある目。
おそらく、弧月のこともこのような眼差しで見ているのだろう。
小夜の眼差しに嫉妬の騒めきが完全になくなっていく。
代わりに温かい火が灯った。
その灯りに笑みを浮かべていると、くぅん……と大人しそうな犬の鳴き声が耳に届く。
見ると、先ほどまで青い炎に包まれていた野犬は恐ろしかった形相を穏やかなものに変え、まるで飼い犬のように大人しくなっている。
「燃えたわけではないのですね」
純粋な疑問として言葉にすると、灯と香が教えてくれる。
「もちろんです。妖帝のおわす内裏を穢すわけにはいきませんもの」
「妖狐の炎は幻火なので、幻を見せていただけですわ。普通の火のように燃えるということはございません」
「そう……」
それにしては、弧月の炎は物理的に作用していた気がする。
自分を助けてくれたとき、青い炎を使って柱を飛ばしてくれたように。
「で、でも。私最近少し我が儘になり過ぎている気がするわ」
反省していたところだというのに、もっと我が儘になっていいとはどういうことだろうか。
「美鶴様は謙虚すぎます。貴女様は主上の唯一の妻です。主上も美鶴様を殊更大事に思われていますし……美鶴様ももっと主上を求めてくださいまし」
その方が主上もお喜びになります、と優しい姉の様な眼差しで見つめられた。
直接干渉はしなくとも、見守ってくれている様な温かみのある目。
おそらく、弧月のこともこのような眼差しで見ているのだろう。
小夜の眼差しに嫉妬の騒めきが完全になくなっていく。
代わりに温かい火が灯った。
その灯りに笑みを浮かべていると、くぅん……と大人しそうな犬の鳴き声が耳に届く。
見ると、先ほどまで青い炎に包まれていた野犬は恐ろしかった形相を穏やかなものに変え、まるで飼い犬のように大人しくなっている。
「燃えたわけではないのですね」
純粋な疑問として言葉にすると、灯と香が教えてくれる。
「もちろんです。妖帝のおわす内裏を穢すわけにはいきませんもの」
「妖狐の炎は幻火なので、幻を見せていただけですわ。普通の火のように燃えるということはございません」
「そう……」
それにしては、弧月の炎は物理的に作用していた気がする。
自分を助けてくれたとき、青い炎を使って柱を飛ばしてくれたように。



