時々屋台で立ち止まり、おいしいものを食べ歩きながら、あたしたち3人は会場から少しはなれた丘の上に来ていた。
そこからは花火大会の会場が広く見下ろすことができる。

「こんな場所があったんだ……」
あたしは暗くなって星が出始めた空を見上げる。

空には邪魔をするものがなにもなく、広いパノラマが広がっている。
「毎年、俺たちはここにきて花火を見ているんだ」

晴がそう言った。
「そうなんだ?」
「あぁ。こんなにいい場所なのに誰にも知られていないから、俺たちでも安心して花火を楽しめるんだ」

へぇ、そうなんだ……。
「そんな場所に、あたしが混じちゃっていいのかな……」

晴と圭の大切な場所。
そんな中に入ってもいいのだろうかと、一瞬不安になった。