「その顔はできてないんでしょ?」
「で、できてるよ! 今日もこれからハジメと勉強なんだから」
あたしはそう言い、バッグに入れて準備をしている課題を見せた。

するとユズちゃんはキョトンとした表情を浮かべる。
「はいはい。ハジメはあたしの彼氏ね」
「あぁ。そういえばカヤには彼氏がいるんだっけ」

思い出したようにそう言うユズちゃん。
最近、いっつもこんな反応だ。
相変わらず平野家からの高級食材も続いているし、いい加減にしてくれないと家族の洗脳がひどくなってしまう。

あたしはそそくさと立ち上がり、リビングを出た。
今日は久しぶりにハジメとデートなんだ。