「で、でもなんでここにいるの? 【ツインズ】のコンサートはまだ終わってないよ!?」
「コンサートはまだ続いているけれど、俺の出番は終わったんだよ」
「そ、そうなんだ……」

終わったなら楽屋に戻って着替えたりすればいいのに。
北見君はなぜだかあたしのためにお茶を持ってきてくれた。

あまりにも不自然な出来事にあたしはジロジロと北見君の顔を見つめた。
整った顔立ち。
シャープな輪郭に大き目の目。

高い鼻にエクボの見える口元。
あ、ダメだ。
イケメンをジロジロ観察しすぎたあたしはクラッと来た。
バランスを崩してそのまま椅子に逆戻りするあたし。

でも大丈夫、鼻血ブーまではなっていない。
「裏方の仕事、実際やってみてどう?」
「どうって言われても、なにがなんやら……」
あたしそう返事をしてお茶をくーっと一気飲みした。