アルト様が隠した書類は一枚だけ。

アルト様がレクシア公爵家の養子になる書類である。



そして、前のアルト様の養父は【レータ・カルデ】



私はその後、レクシア公爵家から自分の屋敷に帰った後もずっとアルト様の秘密を調べ続けた。




そして、謎はほとんど解けた。

あとは、アルト様に事実を確認するだけ。




アルト様、貴方は誰かの生まれ変わりなどではない。




貴方は、たった8歳にしてどれだけの苦しみを味わったのだろう。



アルト様、賭けは私の勝ちですわ。


ねぇ、アルト様。


前も言いましたが、私、優しい人が好みですのよ?


そしてわざと私のことを想って遠ざけようとする不器用な人も。


私はアルト様に明日の放課後に空き教室に来るよう手紙を出した。


その日の夜は、今まで見たことがないほどに美しい満月だった。