《へぇ……年上、ねぇ。センパイにもそーゆー自覚はあったんだ。》

「そ、そりゃありますよ!」

 ぐぬぬ……やっぱり舐めてる、舐めまくってるよ谺君っ……!

 年上だけど私は頼りないかもしれない。それでも、プライドの欠片はある。

 むっと頬を膨らませ、もう一度反論し直そうと口を開く。

《だったらさ……俺の言うとーりにしてよ、センパイ。》

「……へ?」

《それじゃあ、まず最初に……他人行儀やめない? 敬語取って。》

 あまりにもさらっと言われた、そんな言葉たち。

 え、えーっと……聞き間違い、とかじゃなければ私は今……後輩に指図されてる……と。

「……無理かも、です。」

《何で? センパイ、後輩の言う事一つも聞けない?》

「む、無理なもんは無理ですっ! というか、恐れ多いっ……!」

 私が谺君に、タメなんてっ……!

 谺君は知らないだろうけど、谺君の学園での立ち位置は一言で言っちゃえば……貴族、なんだよ?

 王子から派生した言葉みたいだけど、どっちにしろ高貴な立場を表すものだ。変わらない。