……何回も、泉玖と喧嘩した事はあった。

 いつもはすぐにお互い謝って、またバカみたいに笑い合える。

 なのに今回はお互い謝ってるのに……いたたまれなさが、大きすぎる。

「悪い、先教室戻るわ。」

「う、うん……。」

 泉玖らしからぬ、力のない言葉だけを残して去っていく姿を見送る。

 その事にももちろん違和感を覚えたんだけど……今は、自分の気持ちのほうが変だ。

 謝ったのに、何で……こんなにすっきりしないんだろう。

 言いたい事も正直に言って、普通ならすっきりするはずなのに……。

 どうして、だろう……。

 ……私、ほんとに最近変だ。

 窓の外に視線を移しながら、心のどこかでそう思っていた。