夏の夜、路地裏から始まるひとつの恋の行く末は


「おー、どこでそんな言葉覚えた?違うって、ホストクラブで働いてんの。言ってなかったけー?」


言ってないし、聞いてない。


「千羽矢さんはホストさんなんですね。初めて知りました。」

私の扱いが上手かったのはそういうことか。


「まぁ俺はウェイターだけどね。接客する方じゃないから。なのに、客がいきなり抱きついてきたり、わざわざぶつかってきたりするから多分その時にそいつがつけてる香水の匂いが移んのかも。」


なんでだろうねー? と彼は首を傾げているが理由はその顔だろう。