ちょっと呆れながらその様子を見ていた私は、ふとこっちを見た古賀くんと目が合った。

「っ⁉」

 私と目が合った瞬間に二ッと笑った顔はちょっと意地悪なもの。
 天使の笑顔じゃないのに、その顔を私だけに見せている感じがしてドキッとしちゃった。

 古賀くんはすぐにあざとい笑顔に戻って「そうだ、ヒメ」と声を掛けてくる。

「放課後時間あるなら学校案内してくれない?」
「え? まあ、いいけど」

 調理をした翌日はいつも部活は休みだ。
 明日からまた次に作るものを決めたりと活動が始まるけど、今日の放課後はまるまる予定はない。

 だから断ることなくうなずいた。
 昨日のことも聞けるかもしれないしね。

「あんがと」
「っ!」

 ニッコリ可愛く微笑まれて、あざといと思いつつキュンとしてしまった。