「古賀……お前」

 ちょっと驚いたみたいな先生が「正解だ」と言うと、教室中がちょっと騒めいた。

「うわー、なにこれ。ちょっとカッコイイんじゃない?」
「こんなマンガみたいなことホントにできるやついるんだ?」

 そんな声の中先生はため息をつく。

「予習してたのか? 勉強が出来るのは良いが、寝るのは授業態度が良くないぞ?」
「すみません、俺朝は弱くて……。体育とか体動かすのなら大丈夫なんですけど、じっと座ってなきゃいけない授業だと眠気が……」

 一時間目だけでも大目に見てもらえませんか?って、うつむいた顔からの上目遣い。

 あ、これ狙ってやってる。

 何度か見たからか、すぐに分かった。
 自分の可愛い顔立ちを理解しているのか、古賀くんはわざと可愛く見えるように振る舞ってるときがある。

 多分こういうのをあざといって言うんだろうな。

「うっ……仕方ないな。一時間目だけだぞ? それに授業についていけなくなったら補修もさせるからな?」

 古賀くんの可愛さに負けたのか、先生はそう言って許した。


 この一件でさらに有名になった古賀くんは、休憩時間には他のクラスの子にも囲まれていた。

「すごいね! 黒板にすらすらーって答え書いたときなんかカッコ良かったよ!」
「そう? あんがと」

 座っている古賀くんは話しかけて来た女子を見上げて天使の笑顔。
 はい、女子は完全ノックアウトだ。

 本当にあざとい。