今年も我が輩の神殿に豪華な供物が届けられた。 

 届け主の名は『ルネ・ルナール』

 昔、我が輩の神殿にふらりと現れた孤児だ。

 その後、ルナール侯爵家の養女となり、今は王太子妃となった娘の名である。

 お供え物は年々豪華になる。
 また、そこから溢れる信仰心は濃くなり、我が輩に力を与える。

<あの、小汚い娘が王太子妃とはなーー>

 我が輩は思い出し目を細めた。