「先生、隣のベッドを使ってたのは菊野ですか?」

「え?ああ、そうだぞ」

夏目くんが私の方を見つめる。

「菊野、体調悪いの?」

身体は今のところすこぶる元気だが、この状況では心の方がピンチすぎる。

「え・・・いや・・・えっと・・・」

森崎先生とあんなに元気に話していた自分がもう思い出せないくらいに、緊張している。

「菊野、もし体調が悪いなら頷くだけでいいから」

その言葉に私は小さく首をふるふると振った。