「先生、そろそろ教室に戻りま・・・あ、菊野だ・・・」

何故夏目くんが私を知っているのかは分からないが、きっと一年生で保健室登校は私だけだから有名なのだろう。

私も入学してしばらくしてから保健室登校になったので、顔を覚えられていてもおかしくない。

でも、ここで話せるほど私の心は強くない。

森崎先生の後ろに隠れ、顔を隠す。

森崎先生が気を使って、夏目くんに話しかけた。

「夏目、もう頭痛は大丈夫か?」

「あ、はい」

「なら、教室に戻ればいいぞ」

しかし、何故か夏目くんは保健室を出て行かない。