神絵師には目がないのです私。
絶対逃がさないのです私。
「鹿野くんよ」
「なんだよ」
「絵を!見せてくださいぃぃぃいい!!」
「ウザい」
やっぱり切られてしまう。
まだ食らいつこうとすると、さらっとかわされ、逃げられてしまった。
……はぁ……。
「鹿野くんんー、絵、見せてよぉ」
「やだ」
「なんでー」
「却下」
「却下を却下なのだすよぉぉぉぉ」
「それを却下。前提も却下」
「……あぅぅ」
まとわりついてもまとわりついても交わされてしまう。
はぁ、今日もダメか……、と肩を落とす。
もう連日こうして攻防戦を繰り広げている。
「次、美術だぞ」
「え?あ、うん」
「移動教室だろ、美術」
移動しなくていいのかよ、と言われる。
「……あー…美術はね、」
私——…、
思わず口ごもる。
まずい、と声がする。
……どうしよう、油断した。
私は別に美術、出なくてもいいのに。
サボってる、ってごまかす言葉が出てこない。