その日はよく眠れなかった。


クマができてしまった翌朝。


「ふぁ〜……」


なんの躊躇もなく部屋の扉を開けて出ると……。


ドンッと横に手をつかれる。


「へっ……?」


相手は、もちろん朔くんだ。


「おはよう僕の天使」

「えっ、えええっ……!?」

「ねぇ瑠奈」

「ん?」

「昨日言った通り、君のことが好きなんだ」

「っ……!!」


夢だと思ってた……いや、思いたかった。


だけどこれは、どうやら現実のようだ。


「大好き。好き好き愛してる。結婚しよう」

「え、ええっ……!!」

「もう一回、キスしていい?」

「き、ききっ……きす……!?」


ま、また昨日みたいに……!?


ブンブンと一生懸命に首を左右に振った。


「お願い。だめ……?」

「そ、そんなにあざとい顔したってだめだよ!」


そう言って、腕の間をすり抜けて朔くんと距離を置く。


「ごめん、さすがに焦りすぎた」