今まで俺が見てきた人間は……こうじゃなかった。

お互いを貶めて自分の踏み台にし、他人の失敗や間違いを利用する奴らばかりだ。

だいたい裏社会ってもんはそういうところだ。俺の家系も含めて。

裏社会では有名な、『佐伯組』俺の親戚にもヤクザがいるし、俺も小さい頃何度も狙われたため護身術を徹底的に叩き込まれた。

まあ、俺はこれらを継ぐつもりはないから、ほとんど意味のないようだが。

たしかちょうどその頃、真紘と会ったんだっけな……。



「隼人さーん?」

「ん…………?」

「あっ、起きましたね。お疲れ様です、まだ休んでても大丈夫ですよ?」



嫌なことを思い出していた。そのうち寝ていたらしい。

最近、気疲れが激しいな……。そりゃそうか、うちのメンバーキャラが濃いうえに一癖も二癖もあるからな……、真紘はよくあいつらをまとめられるもんだ。



「あ、仕事……、放りっぱなしで寝ててすまない。今からでも手伝おう……」

「ん?大丈夫です、終わらせましたので!」