一週間寝込んでいた際、夢に出てきた皇太子はオデルに似ていたように思う。
彼は滞在中、何度もシルディアに会いに来てくれた。
毎回のようにイチゴのクッキーを携えて。
思えば、あれは初恋というものだったのではないだろうか。
皇太子とのやり取りを思い出すだけで、胸の奥がほんのりと温かくなる。
その気持ちは、よく令嬢達が噂する恋というものだろう。
懸想相手が皇太子だったため、記憶の奥底に蓋をしていた。
ところが何の因果か、シルディアは皇王へ嫁ぐことになった。
蓋をしていた記憶が姿を見せても不思議ではない。
問題は、あの皇太子はオデルだったのでは? と期待してしまうこと。
口調は違っていたし、鮮明に顔を覚えているわけでもない。
なにせ六歳の頃の記憶だ。十年前の記憶が当てになるはずがない。
たった一言、昔会ったことある? と問えばいいだけ。
しかしシルディアは、その一言を口に出すことが出来なかった。
そうして悶々とした気持ちを抱えたまま、時間だけが過ぎ去ってしまった。
彼は滞在中、何度もシルディアに会いに来てくれた。
毎回のようにイチゴのクッキーを携えて。
思えば、あれは初恋というものだったのではないだろうか。
皇太子とのやり取りを思い出すだけで、胸の奥がほんのりと温かくなる。
その気持ちは、よく令嬢達が噂する恋というものだろう。
懸想相手が皇太子だったため、記憶の奥底に蓋をしていた。
ところが何の因果か、シルディアは皇王へ嫁ぐことになった。
蓋をしていた記憶が姿を見せても不思議ではない。
問題は、あの皇太子はオデルだったのでは? と期待してしまうこと。
口調は違っていたし、鮮明に顔を覚えているわけでもない。
なにせ六歳の頃の記憶だ。十年前の記憶が当てになるはずがない。
たった一言、昔会ったことある? と問えばいいだけ。
しかしシルディアは、その一言を口に出すことが出来なかった。
そうして悶々とした気持ちを抱えたまま、時間だけが過ぎ去ってしまった。