そんな穏やかなお付き合いが続いたある日のことです。
 
「君は……演劇とか、その、見に行ったりするのかな」

 騎士さんは出し抜けにそんなことを私に尋ねられました。

「はい?」

「いや、実をいうとチケットを二枚もらったんだ。けど、譲るような知り合いもいないし……もし、よければなんだが……お、俺といっしょに、観に行くのは、ど、どうかなと思って」

 そう言って、彼はふところから二枚の券を取り出します。

「嫌ならいいんだ。無理にとは言わない。ただ、その、日頃世話になっている礼にと……。まあ、なるかどうかは、わからないんだが」

 普段よりもうわずった声で、ためらいがちに言われました。

 そして、そのとき私は気付きました。

 凛々しい男の方がそうやって恥じらう姿、自分的にすっごくグッとくるポイントですっっ!

 ああっ、ごめんなさい。引かないで!