○スーパーからの帰り道


心菜「ごめんね。全部持ってもらっちゃって」


買い物袋を、颯真がひとりで持って歩いている。


颯真「いいよ、これくらい。全然大したことない」

心菜「ありがとう」


先ほどまで曇っていたのが嘘のように、空には綺麗なオレンジ色がどこまでも続いている。


心菜「夕焼け、綺麗だね」

颯真「ああ」


この道も昔颯真くんとよく一緒に歩いたなと、懐かしさに目を細める心菜。


心菜と颯真がふたり並んで歩いていると。


男の声「あれ、心菜……?」


心菜(え、この声は)


後ろから聞いたことのある声がし、心菜が恐る恐る振り返ると、そこには私服姿の拓弥が立っていた。


拓弥「やっぱり、心菜だ。つーか……」


拓弥の視線が、心菜から颯真へと移る。


拓弥「なんで、心菜と相川先生が一緒にいんの?」


心菜(どうしよう。拓弥に見られてしまった)