正論だった。ずっと他人にも、この自分自身の心にも嘘ばかりを吐いて生きてきたそんな汚くて恥ずかしい人間には、あまりにもその言葉が真っ直ぐに心の一番深いところに突き刺さった。

 あの時のわたしの選択は、間違いだったのだろうか……。

 苦しみから逃れるために死を選ぶのさえ厭わなかったのに、それは間違いだったとあなたも蛍さんのように言うの……っ?

 分からないよ、あなたたちに、わたしの苦しみは分からない。誰にも救ってもらえなかった可哀想なわたしに寄り添ってくれる、そんな優しい人はいないんだよ。

 ───…っ、それなのに、なんで。苦しい時に、あなたが一番にわたしの頭に浮かぶの……っ。

 どうしようもなく誰かに救って欲しかった時に、なぜあなただけはずっと、わたしの希望の光で居続けてくれたの……っ。

 これは、わたしの一本的な思い。あなたがわたしの希望の光だったということは、この世界でわたししか知らない。あなたは知らない。


「会いに行きなさい。お前さんを、自分の命を削ってしまってでも助けたいと願い、救ってくれた人に───。その人は今、きっと悲しみの中で彷徨っているじゃろう」


 もう二度と、お前さんの希望の光を無下に傷付けてはいけないよ───と。お婆さんは全てを知った深い漆黒の瞳をわたしに向けて、強く強く、そう言った。

 その瞳には、世界の全てが、映っていた───。