こんなことが、わたしの身に起こっても良いのだろうか。そう真剣に問い質したくなるくらい、わたしは今起きている現実を簡単に受け入れることなんて出来なかった。

 まさか、今わたしの目の前にいる人があの“蛍さん”だなんて───……。久しぶりに心が震える感覚に、わたしは驚きを通り越して感動さえも覚えていた。

 前にこんなにも心が震えたのは、わたしがツイッター上で蛍という名前を初めて見た時だ。その人は、辛い悩みを抱えた人たちからの相談に、親身に乗っているような、そんな人だった。

 画面上に浮き出される文面だけで、その人がどんなに心優しい人なのか、一目で分かってしまったのだ。

 わたしもこの蛍さんという人と、一度でもいいから話してみたい───。

 その時から、わたしはずっとそれだけを望み続けて、生きてきた。


「本当にあの…っ蛍さん、なんですか……っ」


 驚きに言葉が詰まって、わたしは上手く喋れなくなる。目の前の蛍さんは、そんな私をとても優しい瞳で見つめていた。