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「ここには備品が置いてあるから」

「はい」


 説明を聞きながらニコニコとつい顔が緩んでしまう。

 総じて美形なヴァンパイアを常日頃から相手しているので、綺麗な顔は比較的よく見てた。

 でも、ここまで私好みのイケメンに出会えたことはない。

 つまり、顔が緩んじゃうのはやっぱりどうしようもないってこと。

 累さんはヘラヘラしちゃってる私を不審そうに見るわけでもなく、ニコッと可愛い笑みを向けてくれるから尚更引き締められない。


「あ、丁度良いからそこからコピー用紙取ってくれる?」


 累さんの可愛さを堪能していると、庶務の女子生徒が声をかけてくる。


「あ、私が」


 見える場所にあったからつい率先して手を出した。

 その際、紙で指先を切ってしまったらしい。


「ぃたっ」


 とっさに手を引いてみると少し血がにじんでいた。


「――っ」


 一番近くにいた累さんをはじめ、数人から息を呑む音が聞こえる。

 ヴァンパイアだから血に反応したのか、単純に痛そうだって思ったのか。

 流石にこの程度じゃあ判断は出来ないか……。