【短編】かわいく、ワルく、甘く愛して。

「ハンター協会? まさか那智さんはハンターなのか?」


 驚いた裕くんは、苦い顔をして「そっか」と呟くと今度は笑みを消して射抜くように私を見た。


「俺を捕まえに来たってことか……じゃあ、尚更拘束は解けないな」

「っ!……私をどうするつもり?」

「そうだな……催眠術で俺にベタ惚れになって貰おうか? キミを追い返したところで他のハンターが来るだけだろうし。それならキミを(とりこ)にしてウソの報告でもしてもらった方が良さそうだ」


 口にしてから、いい考えだと再確認するように頷く裕くんに私は「いやよ!」と強く拒絶する。


「あなたにベタ惚れ? ありえない。だって私が好きなのは――」

「あーいいって、そんなこと聞きたいわけじゃない」


 私の言葉をうんざりした様子で遮った裕くん。

 でも直後、その裕くんの言葉に反論する第三者の声が聞こえた。


「そうか? 俺は聞きたいけど?」

『っ⁉』


 私と裕くんは揃って驚き息を呑む。

 気配もなく部屋の中にいたのは累さんだった。

 キレイで可愛い顔は普段の澄ました表情。

 でも、笑っていない目はワルい顔をしているときの目そのものだった。