【短編】かわいく、ワルく、甘く愛して。

「な? だから早く俺にオトされてよ」

「そ、れは……」


 だからも何も、まず累さんがどの程度本気なのかが分からないのに!


「もー、何が不満? こーんなに可愛く迫ってあげてんのに」

「だ、だって。“唯一”って言われても私にはそれが本当のことなのか分からないですし、何よりまだ疑いは晴れてないんですから!」


 突っぱねるように言い放つ。

 本人は違反吸血なんてしてないって言うけれど、証拠はない。

 他にもヴァンパイアはいると言っていたけれど、それが誰かは教えてくれないし。

 まあ、私が協力の申し出を突っぱねたんだけど……。


「うーん、俺以外のヴァンパイアが誰か教えることは出来るけど……でも協力するっていうの断られちゃったしなぁ?」


 首をひねってうーんと悩む累さんは可愛い。

 でも、その後には彼の素であるワルい顔が浮かんだ。


「那智が俺の“唯一”で、俺がどれほど求めてるのかを知ってもらうには……やっぱり素の俺で本気で迫っていくしかないかなぁ?」

「っ⁉」


 ゆっくり立ち上がった累さんに、また近づかれると思った私は思わず身を引く。

 でも、累さんの腕の方が早かったみたいですぐに捕まってしまった。