もしもこの力が誰かの役に立つのなら、それを証明してみたいという思いが胸の奥底からこぽこぽと湧いてくる。


 ――神の恵みを使って誰かを幸せにしたい。


 オーレリアは灰色掛かった水色の瞳にトラヴィスを映すと、背筋を伸ばして眉を上げた。
「是非、私に協力させてください」
 こうしてオーレリアとトラヴィスによる皇子たちの(運命の相手)探しが始まった。



 ◇

 ハルディオ帝国の皇族は恋愛重視の結婚が多いらしく、余程のことがない限り政略結婚や見合い結婚という形を取らない。

 皇帝に限っては世継ぎ問題の観点から一夫多妻制が取られているらしいが、他の者は基本的に本妻しか娶らないらしい。

 ルパ王国の教師から教わった皇族のしきたりを思い出していたオーレリアは、与えられた部屋で唸っていた。


(陛下じゃないけど、皇子が三人いて誰も相手がいないというのは先行きが不安になるわね)

 トラヴィスは皇帝代理を務めていて多忙を極めているので一旦目を瞑るとして……。問題は残り二人の皇子だ。彼らの近侍や護衛から話を聞く限り女性の影はなさそうだった。

 オーレリアだって義理の息子たちの未来が明るくないのは心配だ。できることなら良縁を結んであげたい。


 とにかく、まずは第二皇子から進めていかなくては。
「第二皇子がどんな人物なのかや、運命の相手がいるかどうか確かめないと」

 部屋に籠もっていても仕方がないのでオーレリアは行動に移すべく部屋を出た。