【短編】極上ヴァンパイアたちは薔薇乙女を溺愛中

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 満くんに連れて来られたのはバラの生垣に囲われた管理小屋のような場所だった。

 人気のない場所に少し警戒心が湧いたけれど、大事な話ということだから他の人には聞かれたくないだけなのかもしれない。

「さ、入って」
「う、うん」

 うながされて中に入って、ふぅ……とため息をつく。
 なんだか頭が痛い。
 頭の奥の方から、何かが溢れて来そうな……そんな痛み。

 そういえばここ最近悩み事のたびに感じていた頭痛はこの痛みと似ている気がする。

 でもどうしてだろう?
 今は頭を悩ませるような事をしているわけじゃないのに。

 不思議に思っていると、背後でガチャリと鍵の閉まる音がした。

「え?」

 すぐに振り返って見ると、満くんが丁度内鍵から手を離したところだった。
 薄暗い小屋の中、満くんの黒髪がより黒く見える。

「満くん……?」

 呼びかけにゆっくりと私を見たその顔に浮かぶのは、酷薄(こくはく)
 いつもの穏やかで優しい微笑みは欠片もなかった。

「緋奈ちゃんはさ、連絡が取れない弟を探しにこの学園に来たんだよね?」

 何の前置きもなく話し始める満くんに警戒心を強くする。
 思わず後退りするけれど、すぐに背中が壁についてしまった。

「弟くん、手紙用意してたけど……それがどうなったか知りたくない?」
「な、にを……」

 ズキン、ズキンと、何かが溢れてくるような頭痛が強くなる。

「僕が握りつぶしたんだよ」
「え……?」

 どういうこと?