その後、薔薇乙女は一億人に一人しかいないと言われている希少な存在で、ヴァンパイアにとって極上の血を持つ者だと聞かされた。
　しかも手に入れたヴァンパイアの一族は繁栄すると昔から言われているため、薔薇乙女が現れるといつも奪い合いの争いが起こっているのだという。

　そんな説明を受けた後、私を守るため、そして無用な争いを生まないためという名目でこの月虹学園に通うよう手続きされた。

　何でも、今までのように普通に暮らしていては普通に街で過ごしているヴァンパイアに襲われかねないんだとか。

　学園内は自制が利かない者が多いけれど、純血種である《Luna》には皆逆らえない。
　だからこの学園に通い、特別寮で過ごすことで私の安全は守られるという説明を受けた。

　正直信じきれない部分はたくさんある。

　本当に学園に通う必要があるのか。
　襲われると言うけれど、どこまで信じるべきなのか。

　何より、本当に私が薔薇乙女という存在なのか。
　そこからまず信じられない。

　確かに律さんの血に反応して体が熱くなったけれど、目がバラ色になったなんて自分では分からないし。
　たまたま似たような状態になっただけという可能性もなくはないんじゃないかなと思ってしまう。


　でも、戸惑っている間にあれよあれよと諸々の手続きを終わらせられてしまった。

　それに、学園に通えば悟志の居場所をちゃんと調べることが出来る。

　そんな思いもあって、私は不安と疑問を払拭出来ないまでもこの月虹学園へと来たんだ。