何とか咬み痕を塞いでもらうまで耐えた私は、色んな意味で脱力する。
それを支えるように抱きとめてくれた銀髪の男に思わず身を固くした。
ついさっき見た欲を映した瞳。
そしていきなりの吸血行為。
怖いと思わない方がおかしいと思う。
「っ……悪かった、いきなり吸血して」
でも、彼はさっきまでの肉食獣の目が嘘のように澄んだアメシスト色の目をしていた。
「俺は三年の久遠律という」
「久遠、さん?」
「律でいい」
優しい眼差しで名前呼びを許されて、逆にその呼び方以外をしてはいけない気分になる。
だから私は戸惑いつつも、「律さん」と呼んだ。
「ああ」
満足そうに微笑む律さんは、そのまま「お前は?」と涼やかな声で私の名を聞いた。
「緋奈……夏目緋奈、です」
律さんは聞いた私の名前を確かめるように「緋奈、か」と口内でつぶやくと、真剣な表情になり私を見つめる。
そして告げた。
「緋奈、お前は俺たちヴァンパイアにとって特別な血を持つ薔薇乙女だ」
それを支えるように抱きとめてくれた銀髪の男に思わず身を固くした。
ついさっき見た欲を映した瞳。
そしていきなりの吸血行為。
怖いと思わない方がおかしいと思う。
「っ……悪かった、いきなり吸血して」
でも、彼はさっきまでの肉食獣の目が嘘のように澄んだアメシスト色の目をしていた。
「俺は三年の久遠律という」
「久遠、さん?」
「律でいい」
優しい眼差しで名前呼びを許されて、逆にその呼び方以外をしてはいけない気分になる。
だから私は戸惑いつつも、「律さん」と呼んだ。
「ああ」
満足そうに微笑む律さんは、そのまま「お前は?」と涼やかな声で私の名を聞いた。
「緋奈……夏目緋奈、です」
律さんは聞いた私の名前を確かめるように「緋奈、か」と口内でつぶやくと、真剣な表情になり私を見つめる。
そして告げた。
「緋奈、お前は俺たちヴァンパイアにとって特別な血を持つ薔薇乙女だ」