いまさらだけど、わたしは気は長い方ではない。さらには、忍耐強くもない。

 つまり、短気である。

「イヤね。そんなに言いにくいこと? どうせまたわたしの悪口でしょう。それとも文句?」
「そのようなことではない。その、おれといっしょで後悔していないか? セプルベタ侯爵の屋敷でのんびりすごしている方がよかったと思っていないか?」

 驚いてしまった。そして、不安になった。

 こんなことを尋ねてくるなんて、もしかすると彼はわたしを連れてきたことを後悔しているの? 実家でのんびりすごしている方がお似合いだと思っているの?