「そういうわけで、おまえたちに興味を抱いたというわけだ。だから今夜、その二人に声をかけられてますます興味を抱いた。せっかく街のレディと濃厚なひとときをすごす約束をしたところだったが、おまえたちを選んだというわけだ」

 彼は、わたしたちを指さした。

 それにしても「おまえたち」だなんて、ずいぶんと傲慢なのね。

 彼に対する心証は、まずまず悪くなっていく。

「おいおい、このおれをいつまでここに立たせておくつもりだ? おいっ、レディ。さっさと居間に案内しろ。それと、いまは赤葡萄酒が飲みたい気分だ。そうだな。赤葡萄酒に、『マンテールチーズ』があればそれでいい」

 なにを言いだすのかと思いきや……。