「大翔、ごめんね。突然いなくなったりして」

「大丈夫、どこに行ったって、俺が見つけるから」

「離婚届けも……」

「うん、あれ、燃やしといたから」

 え……燃や……燃やしたの?

 なんでもないことのようにサラリと言われて、もし私が本当に離婚したくなっても燃やすのだろうかと心配になった。

でも、大翔と本気で離婚したいなんて思う日は来ないと、確信めいた自信がある。

「私、お父さんに言われると反抗できなくなっちゃうの。嫌われるのが怖くて。昔みたいに優しくしてほしくて。でも、今回のことでわかった。私がどんなに尽くしても、お父さんは私を見てくれないって。

愛されていないんだって現実を受け止めたら、なんか、わけわかんなくなっちゃって」

「それは、捺美が悪いわけじゃない。脳なのか心なのか、俺にはよくわからないけど、傷跡が悪化して暴走しただけだから」

「暴走?」

 不思議そうに見上げると、大翔は全てをわかっているような顔をして言った。