そう言って、大翔は私をぐいっと持ち上げた。

引きずり上げるように崖の上に救出された私は、土や砂で汚れていた。

「怪我はないか?」

 大翔が心配そうに私の身体を点検する。

「どうして、大翔が……?」

 放心状態で大翔を見つめる。夢を見ているのだろうか。

「言っただろ、助けに来たんだよ」

「どうしてここにいるってわかったの?」

「だってここは、俺たちが初めて出会った場所だろ?」

 当たり前のことのように言う大翔に、驚きを隠せなかった。

そして、ようやく思い出した。

あの日、大翔は死に場所を探しにここにやってきた――