「ずーっと昔から、冬奈一筋」

「え?昔から?」


「俺が高校生で冬奈が中学生の時、お店に行ったらクレーマーがいてね。「不味い」って大声で言ってた」

「多分その人は食べたこともないくせに言ってたんだけど、そしたら冬奈が和菓子を一個持ってきて、その人の口に入れたんだ」

「「美味しいでしょ!」って。格好良くて、でも強引で、なんか気になっちゃって、その後冬奈に会いに行ったら大泣きしてた」

「「食ってから言え!」って。でも、その後ぽそっと「見た目で食べたいと思わせられなかった」って」

「なんか可愛くて、可愛くて、守りたくてたまらなくなっちゃった」

「それから冬奈のこと気になって見てたらもっともっと好きになって、ああ、この子の婚約者で良かったって思った」

「祖父に感謝しなきゃね」


成紀さんは恥ずかしそうに笑った。