———復讐だ。

あれだけ嫌っていた言葉が、今はこんなにも甘美な誘惑に聞こえる。


嫌だ、と心の中から声がした。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、と心がみっともなく叫んでいた。


復讐なんてしたら、きっと嫌われてしまう。

会いに行ったときに、突き放されてしまう。


それは、嫌だ。


だけど……、許せない。


おかしいでしょ。いなくなっても会えなくなっても、悲しんでくれる人がいないなんて、そんなの———……っ、おかしいでしょ……っ!


それでよかったのかもしれない、それで満足だったのかもしれない。

……だけどさ、それでも。


誰かが、あいつの代わりになんてなれないんだから、誰かが、悲しんでやらないとだめでしょ……っ。


理不尽だ、おかしいよ、こんなの……っ。


———復讐。


だから私は、その甘美な誘惑に乗ることにした。

きっとあいつが、納得できる方法で。