「で、そういうことだから私たち流歌と仲良くなりたいんだよね」
「私は作曲家志望で千代が作詞家志望なんだけど、流歌は? 同じじゃなければ私たちとチーム組まない?」

「え? う、うん。私はプレイヤー志望だから大丈夫だけど……私でいいの?」

 まさかチームに誘ってくれる子がいるとは思わなかったから、つい確認してしまう。

「いいに決まってるでしょ? てか、プレイヤー志望なら願ったりだよ!」
「そうそう。エンジニア志望でも良かったけれど、肝心のプレイヤーがいないんじゃあ意味がないからね」

 私の心配なんて吹き飛ばすくらい歓迎してくれた千代ちゃんと千絵ちゃんにちょっと胸が温かくなる。

 目立つのが苦手な私がこの学園でやっていけるのか心配だった。
 けれどこんなに早く友だち――ううん、仲間が出来るなんて。
 声を掛けてくれた二人に、感謝を込めて笑顔を向けた。

「ありがとう。ふつつかものだけど、よろしくね」

「ふはっ! ふつつかものって……JCがそれ使う?」
「真面目なんだね。……てかさ、流歌ってなんかかわいいね」

「ふぇ⁉ か、かわいい⁉」

 かわいいと言われたことはあるけれど、ほとんどが大人や親せきばかり。
 たまに友だちにも言われたけれど、あれはお互いにかわいいって言い合うコミュニケーションの一種みたいなものだし。

 こんなふうにまじまじと見て言われるとは思わなくてビックリしちゃった。

 しかも今は眼鏡をかけて大きな帽子を目深にかぶっている状態。
 なおさらかわいいなんて言われるとは思わなかったんだもん。