「私ね、叶氷さんのことほんとに大好きみたい。」


この手を掴めば、どうなってしまうのか。

無論、その答えはもう知っている。


「悪いのは叶氷さんだよ?」

彼の掌へ自分のそれを近づける。


「分かっているさ。でも、分かった上で僕に手を差しだすなんて、衣緒も結構悪い子なんじゃない?」

掌を重ね合わせる。


「あはは、そうかもね。」

指と指とを絡め合わせ二人は微笑みあう。