「ゆびわ~♪ おそろい~♪ キラッ、キラ~♪ かぞく~おそろいぃ~~♪」

 階段を降りるとまず聞こえてきたのは、イアンの歌だった。
 
 ところどころ音程が外れているのに、不思議と耳なじみの良い歌声に、アシュレイは「ふっ」と思わず笑ってしまう。

「あっ、ビッキー。僕、まっ赤で大きなキラキラがいい!」

「真っ赤で大きなキラキラ……ルビーかしら? うぅ~ん、でも結婚指輪は、やっぱりシンプルなものが良いと思うんです」

「シンプル?? よくわかんないけど。赤って強そうだよ! それに、すーっごく目立つ!!」

「結婚指輪に戦闘力は必要ないような気が…………あっ、でも、既婚者です!っていうアピールのために、目立つ方が良いのかしら?」

「『ウキワした男は、ソク、ほろぶべき』って、キャシーが言ってた」

「ウキワ? それを言うなら浮気ね。キャシーちゃんと私、気が合いそう。そう、浮気は絶対ダメです!」

「うん! ウキワ、じゃないや。ウワキ、ダメぜったい!」

「ええ、そうです!! って、あれ? イアン、私たちなんの話しをしていたのかしら」

 会話が脱線して首を傾げるふたりの様子に、アシュレイはとうとうこらえきれず、クスっと笑みを零した。
 
 その音で、ふたりがこちらに気付きソファから立ち上がる。