忍くん、こんなお弁当作ってもらうなんて……もしかして、結構すごい人なのかな?


「千幸って、すごく幸せそうに食べるよね」

「そうかな?」

「うん、見てるこっちまで幸せになる」


頬杖をつきながら、またそんなことを言ってくる。

一体いくつ心臓があったら、このドキドキに耐えられるのだろう……。


「忍くんは食べないの?」

「そうだね、そろそろ食べようかな」


そう言った忍くんは、ポケットからヘアピンを取り出す。

器用に長い前髪を取って、ピンで避けた。


お顔が、少し見える。


「……ん?なんかついてる?」

「へっ?う、ううん!可愛いピンだなぁって」


形がくまさんだ。


「ああ、これ姉さんにもらったんだ」

「へぇ……!」


忍くん、お姉さんなんていたんだ……!!


「子供っぽいから嫌だって言ったんだけど、これぐらいしかヘアピンなんて持ってなくてさ」

「そっか!」