「田中くん……くじ、イカサマしたでしょ?」


 私がくじの箱に手を入れたとき、くじの一枚が手の中に飛び込んできたんだもん。

 ビックリして悲鳴を上げそうになっちゃったよ。

 あれは絶対佳くんのしわざだ。


「まあ、ね」


 私の指摘に佳くんはちょっとイタズラっ子の笑みを浮かべて、悪びれもなく肯定した。

 そんな表情ですらカッコイイからズルイと思う。

 しかもその表情のまま机の端まで寄って私の方に近付いてきた。


「ちゆの隣の席は俺が独占していたいからさ」

「っ!」


 みんなには聞こえない様に告げられる。

 その言葉と仕草にドキンッと心臓が跳ねた。

 そのままドキドキと胸を高鳴らせる私から離れた佳くんは、いつかのように立てた人差し指を自分の口元にあてる。


「みんなにはナイショだよ?」


 隣の席の佳くんは、ヒミツがたっぷりな私の彼氏です。


END