「って、田中くんこそケガしてるよ?」
ちょっと落ち着いて余裕が出来たからか、彼の左頬に切り傷があることに気付く。
深い傷じゃないみたいだけれど、血も滲んでいた。
「ん? ああ、かすり傷だよ」
「でも」
それでも消毒くらいはしないと、と声を上げようとした。
「佳! その子無事か⁉」
けれど、上の方から田中くんを呼ぶ声がする。
田中くん越しに見上げると、さっき彼と一緒にいた高校生が私たちを見下ろしていた。
どことなく田中くんに似た雰囲気の顔立ちをしている。
隣には心配そうに私を見る西園寺先輩もいた。
「ああ! 大丈夫だ!」
「じゃあお前はその子連れてちょっと隠れてろ! このままだと巻き込む。西園寺さんは俺が守るから!」
「分かった!」
会話が終わると西園寺さんたちはすぐに頭を引っ込める。
田中くんも私に視線を戻した。
「ごめん浜田さん、巻き込んじゃったね。悪いけど、もう少し俺と隠れていてくれる?」
「え?」
「このままだとさっきみたいに浜田さんまであいつらに狙われてしまいそうだから」
「あっ……」
田中くんの言葉に、さっき黒服に捕まえられそうになったことを思い出す。
さっきは避けるのに精一杯でそれどころじゃなかったけれど、今になって怖くなってきた。
自然と手が震える。
「大丈夫」
私を抱く田中くんの手に力が込められて、グッと彼の顔が近付く。
ちょっと落ち着いて余裕が出来たからか、彼の左頬に切り傷があることに気付く。
深い傷じゃないみたいだけれど、血も滲んでいた。
「ん? ああ、かすり傷だよ」
「でも」
それでも消毒くらいはしないと、と声を上げようとした。
「佳! その子無事か⁉」
けれど、上の方から田中くんを呼ぶ声がする。
田中くん越しに見上げると、さっき彼と一緒にいた高校生が私たちを見下ろしていた。
どことなく田中くんに似た雰囲気の顔立ちをしている。
隣には心配そうに私を見る西園寺先輩もいた。
「ああ! 大丈夫だ!」
「じゃあお前はその子連れてちょっと隠れてろ! このままだと巻き込む。西園寺さんは俺が守るから!」
「分かった!」
会話が終わると西園寺さんたちはすぐに頭を引っ込める。
田中くんも私に視線を戻した。
「ごめん浜田さん、巻き込んじゃったね。悪いけど、もう少し俺と隠れていてくれる?」
「え?」
「このままだとさっきみたいに浜田さんまであいつらに狙われてしまいそうだから」
「あっ……」
田中くんの言葉に、さっき黒服に捕まえられそうになったことを思い出す。
さっきは避けるのに精一杯でそれどころじゃなかったけれど、今になって怖くなってきた。
自然と手が震える。
「大丈夫」
私を抱く田中くんの手に力が込められて、グッと彼の顔が近付く。



