「いただきます」

 そう言って備え付けてあるスプーンに手を取り、オムライスを一口すくう。トロトロの卵から鮮やかにケチャップで染まったチキンライスが顔を覗かせる。ゆっくり口に入れて咀嚼するとわたしは目を見開いた。卵の甘みとチキンライスの酸味が絶妙に合い、今まで食べ来た物の中で一番美味しいのだ。わたしは他の料理も少しずつ食べて味をみるが、どれも美味しく感じる。

「味のほうはどうかな?」
「すっごく、美味しい‼︎」

 元気よく答えて喜ぶわたしにパパは安心したような顔をしている。そして自分のプレートに乗った料理を口に運ぶ。