それからはわたしはパパと一緒に救急車に運ばれ、近くの総合病院へ連れて行かれた。パパはすぐに手術室へ行き、わたしは別の部屋で手当てを受けた。その時にお巡りさんが来て、事故のことを聞かれたので覚えている範囲で答えたつもりだ。……パパの事が心配で何と答えたかも覚えていない。

「君が只野愛子さんかな?」

 パパが手術室へ連れて行かれて数時間後、白衣を着た初老の男が現れた。

「うん、そうだよ。あなたは?」
「私はこの病院の院長だよ。パパに会えるから、着いてきてくれるかな」