「全てはティアリーゼ様に罪を擦り付けるため。メラニー様の自作自演です……しかも、ご自分は飲まず私が毒見をしたということにして無理矢理飲ませたのです」
「何だと? メラニー……自作自演などこの者の虚言(きょげん)なのだろう?」
「そ、そうよ! 嘘を言わないで!」

 まだ嘘をつき通そうとするメラニーに、エリーは怒りを押し殺し淡々と話す。

「噓ではありません。メラニー様、あなたは私があのまま目覚めず死ぬと思っていたのでしょう? だからこの度の計画を話した」
「っ!」
「ですが私はティアリーゼ様に助けてもらいこうして目覚めることが出来ました。……メラニー様、騎士団へ話は通しております。じっくりと調べて頂きましょう」
「このっ! 平民のくせにっ!」

 エリーに追い詰められ、メラニーは言い返すことが出来なくなったのだろう。
 可愛らしい顔を醜く歪ませて、彼女はエリーを黙らせようと手を振り上げた。
 だが――。

「させないわ!」

 大事な証人に手出しをさせるわけにはいかない。
 サッとエリーをかばうように前に出たティアリーゼは、神術で風を起こしメラニーに叩きつけた。