「ということは、殿下がお前を処刑したというのは……」
「ええ、事実ですわ」

 騒然となる周囲だったが、それを制するように言葉を続けた。

「ですが、そこのメラニー嬢に毒を盛ったというのは冤罪ですわ。本日はそれを証明するために参りました」

 言い終えると、静かに後ろを付いてきていたエリーに前へ出るよう促す。
 ローブを頭から被っていたエリーは、フードを取りメラニーを睨むように顔を上げた。

「なっ⁉ どうして⁉」

 真っ先に声を上げたのはメラニーだ。
 今までフリッツに寄り添うだけで黙っていた彼女は、驚愕の表情で叫び出す。

「何故目覚めているのエリー⁉ あの毒には“解毒薬など無い”のに⁉」
「……やっぱり私をあのまま殺すおつもりだったのですね?」
「っ!」

 メラニーを睨むエリーの眼差しに憎しみに近い怒りが宿る。

「殿下、私はメラニー様の側仕えをしておりましたエリーと申します。毒見と称してメラニー様に毒を飲ませられた者でございます」
「どういうことだ?」

 怒りを内に秘め、エリーは淡々と話す。
 対するフリッツはエリーとメラニーを交互に見て、惑った。