「あ……」

 足に力が入らなくなり、ガクンとくずおれる。
 だが、完全に座り込んでしまう前に力強い腕がティアリーゼの体を受け止めた。

「大丈夫か?」
「ストラ、様……」

 神に受け止めてもらうなど畏れ多いと思う反面、労わるように抱きとめてくれるストラに胸がキュンとした。

「ティアリーゼ、様?……っ!」

 目覚めたばかりでぼんやりしていたエリーだったが、ティアリーゼの姿を見た途端驚愕の表情になる。
 体を起こそうとしてうまく行かなかったのか、肘をつき上半身だけ僅かに上げた体勢で声を上げた。

「ティアリーゼ様! 申し訳ありません!」
「エリー? どうしたんだいきなり。ティアリーゼ様とは……」

 フロント氏が娘に近付き支える。
 その表情には戸惑いが溢れていた。

「父さん? どうして……いえ、まずは謝罪を!」

 状況が分からないながらも謝罪をしようとするエリーだったが、正直ティアリーゼには対応出来る余裕がない。
 慣れない治療をしたせいだろうか。
 体に力が入らず、頭痛までしてきた。