「それで、エリーを助けて下さるというのは本当でしょうか?」

 目の前に座る白髪交じりの壮年の男性は、ティアリーゼたちを客間に案内すると真っ先に質問した。

「ええ。まずは状態を見てみないことには何とも言えませんが……話を聞いて助けたいと思い参りました」

 答え、出された紅茶を一口飲む。
 良い茶葉を使っている。

 メラニーの側仕えをしていた娘の実家、フロント商会。
 その商会の王都に構える店に顔を出し、会長を呼んでもらった。
 神官のティアだと名乗り、娘さんを助けたいと告げるとここに通されたのだ。

 正直、神官の衣も纏っていないのに突然助けるなどと言って怪しいだろうと自分でも思う。
 だが、それでも客間に通して良い紅茶まで出すところを見ると、かなりなりふり構わないといったところかもしれない。

「ありがとうございます。ですがその……あなたが神官であるという証明は出来るでしょうか? いくら藁にもすがる思いとはいえ、見ず知らずの方を娘に近付けるわけには……」

 流石に警戒はしているのか、せめて神官であるという証明を見せて欲しいと告げられる。