ギィ、と音を立てて朝日が射し込む木製の窓を開く。
 早朝の爽やかな空気を吸い込み、ティアリーゼは僅かに残る微睡みを吹き飛ばした。

「さあ、次は冤罪を晴らさなくてはね」
「ピピピ!」

 同じく目を覚ましていたピューラにこれからやるべきことを告げる。

 あの後、無事に洗礼を受けることが出来たのは日も傾き空の色が変わった頃だった。
 神官としての衣を受け取り、泊る場所がないため神殿内に部屋を用意してもらって一晩を過ごしたのだ。

 貴族の令嬢が一人で洗礼を受けに来た上に、泊まる場所がないというのもおかしな話。
 だが、神殿長は何か訳ありと見て深くは追及してこなかった。
 むしろ多大な聖霊力を見せつけてしまったからだろうか?
 大げさなほどへりくだられて逆に困った。

 側仕えがいなくとも身の回りのことは自力で出来る。
 魔術も神術も使えるティアリーゼにとっては手間がかかるという以上の不便はない。

 質素で申し訳ないが、と用意してくれた朝食を部屋で取りながら、ティアリーゼは整理するために今までのことを思い出していた。