確かこの森を抜けた先にも小さな神殿が一つあったはずだ。
 現在地の正確な位置が分からないので少し不安だったが、ピューラは場所が分かる様で先導するように前を飛ぶ。
 早速役に立ってくれている。

 ピューラの愛らしさと心強さになごみ、そんな小鳥を預けてくれたストラに感謝する。

 王太子の婚約者と定まってからは完璧を求められる日々。
 頑張って完璧な令嬢となると、今度はあなたに出来ないはずがないと色んな無茶ぶりをされるようになった。
 まあ、無茶ぶりでもことごとくこなしてしまった自分にも原因はあるのだろうが。

(でも仕方ないじゃない。出来なければ怒られて次期国母なのにって落胆されるだけなのだもの)

 それならば流石だと褒められる方がまだマシだった。

「ピピピ?」

 思い返して気持ちが沈んでしまったからだろか。
 歩みが遅くなったティアリーゼの周りをピューラが纏わりつくようにくるくる飛ぶ。

「あ、ごめんなさい。急がないと日が暮れてしまうわね」

 気を取り直し、ピューラの愛らしさにまたほっこりしながら森を抜けた。