(近場で一泊旅行って…つまりそういうことだよね…?)

———葉月は高校生なんだから勉強する時間が大事でしょ?

(なーんか矛盾…)


———ハァ…

「溜息」
放課後
二人きりの教室で日誌を開きながら、羽生が浮かない顔の葉月に言った。
気づけばまた日直の当番が回ってきていた。

「最近多い」
「………よく気づくね…」
「誰でも気づくレベルだろ。多分松嶋も思ってるよ。」
葉月は「ははは…」と力のない空笑いをした。

「バイト始めた?」

「………」

羽生の質問に、葉月は間を置いて首を横に振った。

「条件に合うバイトがみつからなかった?」
「それもあったんだけど…バイトするのやめたの。」
「なんで?」

「………なんか…虚しくなっちゃって」
葉月は日誌にペンを走らせながら言った。