「うちの学校で一番イケメンなのって絶対羽生くんじゃん!」

「羽生先輩やばくない!?」

日に日にファンが増える有り様だ。

(なにこれ…すご…同じ人とは思えない…)
こうなる前から毎日羽生を観察していた葉月は、羽生を取り巻く環境の変化に本人以上に驚いていた。

(でも…なんか、なんか、なーんか……)
葉月はモヤモヤした気持ちを抱えていた。


「マイナーだけど好きだったマンガが、ドラマ化されて急にメジャーになっちゃった感覚…」
休み時間に葉月が言った。

「なんだよそれ…」
葉月の例えに羽生が苦笑いをした。
「羽生くん本人はあんまり驚いてないんだね。」
「うんざりはしてるけど…中学もこんな感じだった。だから同中のやつがいない学校にしたんだけど。」
葉月は中学生の羽生を想像してみた。
「ところで…マイナーだけど“好き”だった?」
羽生がいつものいたずらっぽい笑みで葉月に言った。
「た、例えだから!マンガの話だから…!」

「ふーん」